潜水艦救難艦ちはや一般公開に行ってきた
日時:2018年6月09日 場所:愛媛県松山市 松山外港第2埠頭 イベント名:潜水艦救難艦ちはや一般公開
(写真が多い為、表示に少し時間がかかります。そのままお待ち下さい)
松山には年に1~2回海上自衛隊の船がやってくる。
数年前にはイージス艦「あたご」の一般公開もあったのだが、普段は「いなずま」とか「あぶくま」とかあまりパッとしない船が来ることが多い。
今年も御多分に洩れず「ちはや」という聞いたこともない船が来るというニュースを見て、パッとしないなぁ、たまには「こんごう」とか「ひゅうが」とか来てくれないかなぁ、と落胆していた。
だが、来るのだから行かない訳にはいかない。
税金を払っているのだからちゃんと視察しないと!!という気にかられ、とりあえず「ちはや」について調べてみることにした。
まず、ネットで「ちはや」と検索するとヒットしたのは広瀬すずだった。
まあ、映画が公開された後だったので、ある程度予想していた。
取りあえず、「ちはや 海上自衛隊」と検索してみた。
ん? 潜水艦救難艦??
これはもしや!! あれを積んでる船?
ウィキさんで調べてみると、予想どおり「DSRV」の文字があった。
一気に長方形のテンションが上がる。
DSRVとは、沈んだ潜水艦にドッキングして乗員を救助する小型潜水艇の事である。
まだ高校生くらいの時にCSで「原子力潜水艦浮上せず」という映画を見たことがあり、その時にDSRVという単語を知ったのだが、それが見られるとは!!
イベントは6月9と10日にある。10日は仕事だが、9日は休みだった。
やったーと思い、知り合いにラインして一緒に行くてはずを整えた。
朝9時頃
三津埠頭の駐車場は、まあまあの車だった。
自衛隊に関心がある人が多いのだろうか。
まあ、自分もその人だが……。
写真:一般公開を案内する看板。
写真:ちはや
近づいてみると、結構大きな船である。
おまけに、DSRVが格納されている部分が中央にあるので結構背が高い。
塗装から明らかに軍事用の艦と分かるが、単装速射砲の砲身も、魚雷発射管も、ファランクスも搭載されていない。
いささか無防備過ぎると思うが、救助を目的とした船なので、これでもよいのだろう。
サンダーバードに登場する国際救助隊も見習ってほしいものだ。
(国際救助隊は、自分達の秘密保持の為に敵をバンバン撃ちます)
写真:掲示板
早速、乗り込むとまず目にとまったのが、このホワイトボードである。
帰艦時刻は0745。
つまり明日の朝7時45分までに船に戻ってきなさいという意味である。
戦争系の映画で、渚で出会った美女と一夜を過ごし、ベッドで目覚めた時に
主人公が「やっべー遅刻だ」というアレである。ラムウではなくラムーなのだが、まあ良いか。
写真:艦内に続くドア
写真:狭い通路
急な階段を下りると、通路に出た。
まず案内されたのが、この部屋。
しかし、中に入ろうとすると「これ以上入れません」と言われてしまう。
そんなに重要な物があるのだろうか。
写真:艦橋
色々な階段や通路を抜け、次に案内されたのが艦橋である。
大体、どの一般公開でも公開されている場所だ。
さっきの部屋とは違い、こちらは自由に見学できる。
モニターには三津周辺の地図が表示されている。
写真:ラッパ
一緒に同行していた音楽関係の仕事をしている友達が、上を見てラッパを指差した。
普段の長方形なら全く気にも留めない着目。流石音楽関係の仕事をしていると思った。
写真:ダイソーの小物入れ。
最近の自衛隊の装備には、民生品も多く使われている。
三菱のパジェロとか、いすゞのトラックとか。
100均まで使っているとは……。
写真:訓練中の様子を写したパネル。
艦橋には色々なパネルが展示してあった。
写真:灯火及び形象物の図解。
これは初めて見た。
どんな船がどんな灯火をしていて、どんな形状でどういう状態なのかが描かれている。(多分)
写真:気圧計
現在の気圧が表示されているが、自衛官さんによれは、この艦では針の数字+1.5を足して読むそうだ。
つまり、大体1008ヘクトパスカルということだろうか。
外に出ると何時も見慣れた三津の風景が広がっている。
だが、こんな海の上の高い場所から見る機会などめったにないから結構新鮮に感じた。
向こうに写るクレーンは、我がPokkoriesのPムービー「プロとしての自覚2」の撮影でも登場する。クレーンのたもとで、敵国のスパイがミサイルの制御ディスクを受け渡すというシーンで使用した。もう十年以上前の事なので少し懐かしい。
写真:船体番号と艦名・所属の書かれた紙。
艦橋の窓に内側からこんなものが貼られていた。
何かと便利そうである。
更に上へと続く階段があるので上って見た。
更に眺めが良くなる。
向こうに見えるラクダのこぶのような山は、四国霊場第52番札所である太山寺がある経ヶ森である。
ふと、下の甲板をみるとまたもや民生用が。
どっかのホームセンターで揃えたのだろうか。
ちはやのメインマスト?
写真:民生用時計
階段を下って小さな部屋に入る。
ここは、DSRVの電池を置いている場所である。
そして、ここは黄色い熊の息がかかっていた。
写真:DSRV用の電池達
DSRVは油漬酸化銀亜鉛電池とよばれる充電電池を使用している。
総重量は約1320kg、連続潜航時間は約5時間だそうだ。
充電には約20時間必要とのことだ。
オレンジのカバーがかかっている方が救難用、カバーのかかっていないホワイトの方が訓練用として分けている。
大きな違いは、訓練用のホワイトの電池には電解液及び絶縁油が入っている。
オレンジの救難用には、何も入っていない。
救難用を使用する時は、電解液を入れることで化学反応が起き電圧を発生させる。
その為、電解液を入れただけで使用可能となる。(実際には完全には満タンにならないので充電は行うらしい)
この部屋はDSRV格納庫の真上にある。
電池は写真上部の蓄電池運搬装置で吊り上げてリフトまで運ばれる。
電池はリフトで下の格納庫まで下ろされる。
最後は、格納庫にある電池運搬装置で、DSRVに搭載されるのだそうだ。
この階段を降りれは、いよいよDSRV格納庫である。
写真:DSRV格納庫
階段をおりると、居ましたDSRV!!
予想していたよりかかなりでかい印象だ。
格納庫内では、予想通りグッズなども販売しているようだ。
パネル展示も中々充実している。
写真:DSRV後方スクリュー
階段を下りて、まじまじと見てみる。
いやーかっこいい。
こういう形の潜水艦は昔から好きだ。
映画「アビス完全版」にもこんな小型潜水艦が出てくる。
写真:ドッキングのパネル展示
上の写真でも分かると思うが、DSRVには3つの耐圧球が繋がった構造になっている。
真ん中の救難室の下には半球状のスカートとよばれる部分がついてる。
このスカート部分の下のハッチを、航行不能な潜水艦にドッキングさせ救助を行うのだ。
ちなみに一度に最大12人まで救助できるそうだ。
ドッキング部分は、各国共通となっているらしく、他国の潜水艦も救助可能である。
水中での細かい操作が必要な為、DSRVの前方と後方には、それぞれ上下左右のスラスターがついている。
つまり、前進後進はメインのプロペラで行い、上下左右の細かい移動や姿勢維持にはスラスターを使用するのである。
写真:救難オペレーションのパネル展示
このDSRVは、ちはやのセンターウェル(ムーンプール)から架台ごどワイヤーで水中に下ろされる。
架台からは、後進して発進する。
そして、水中を下降し航行不能な潜水艦のハッチにドッキングする。乗員を救助し、再び架台に戻りワイヤーで引き上げられる。
一度に12人しか救助出来ないので、何度も往復する事になる。
写真:上下左右スラスター
先ほども紹介したが、この潜水艦には前方後方ともに上下左右スラスターがついている。
写真ではスラスター内の小型プロペラは見えないが、下と右に大きな穴があいているのが分かると思う。これがスラスターである。
写真:センターウェル(ムーンプール)
本来DSRVは格納部分に置かれているのだが、一般公開ではセンターウェル(ムーンプール)上に置かれている。
センターウェルの隙間から海?なのか水面がみえている。
できれば、完全に開いた状態を見てみたいものだ。
写真:民生用時計・民生用パルックボウル
こんな所にも民生部品が。
シチズンの電波時計に、パナソニックのパルックボウルだ。
写真:格納庫内
意外と狭そうで広い。
写真:無人潜水装置(ORV)
この無人潜水装置は遠隔操作で、DSRVの行う救出作業を支援する。
大きな2本のマニュピレーターが印象的だ。
まるで、ヤドカリのようにも見える。
写真:ヘリコプター甲板
艦の一番後方にあるヘリコプター甲板は、結構広めに作られている。
イージス艦のように、垂直発射装置(VLS)の発射口もない。
実にさっぱりしている。
一通り見たので、そろそろ下船することにした。
写真:DSRV
写真:船首
こうして全体像を見てみると、本当に何も兵装が搭載されていない。
対艦・対空能力はゼロである。
せめて、ミサイルに対する最終防衛装置であるファランクスくと魚雷発射管くらいあってもよいと思うが、目的が潜水艦救難という救助が目的の為なので、必要がないということのなのだろう。
救助といえば、サンダーバードに出てくる国際救助隊は、自分達の秘密保持の為に、敵(おもにフッド)に対しては容赦なく射撃を行うのだが、彼らも見習ってほしいくらいだ。
写真:船尾
タグボートを運転しているオッチャンが、興味心身でちはやを見ていた。
写真:やまと・くれこ
海上自衛隊の公式キャラクター、やまと・くれこが来ていた。
くれこの帽子は、くじらをイメージしている。
潜水艦は鉄のくじらと言われているので、くじらの帽子なのだろう。
時計を見ると、10時40分ころである。
大体の内容は見たので、そろそろ帰ることにした。
これで、潜水艦救難艦ちはや一般公開のレポートは終了する。